研究概要 |
-90℃までの低温条件における微小氷晶形成実験を環境制御型SEMで行うための課題として,次の3点を解決した。 1)純水蒸気条件における観察可能最低露点と空気-水混合気における最適観察条件を実験的に決定した。 2)空気-水混合気における露点設定を安定して行うガス供給系を完成させた。 3)冷却窒素導入系への結露,降霜を防ぐための二重管フランジを製作し,その有効性を確認した。 そして,-50〜-80℃,100Paの条件において氷晶を生成させ以下の2点を確認した。 4)-80℃では六方晶系ピラミッド型20面体氷晶がほとんどを占めること。 5)-60℃,100Paにおける30μmまでの氷晶成長はほぼ等方的な成長をすること。 以上を通じて,環境制御型SEMを用いた-80℃程度までの氷晶形成実験を行う環境をほぼ整えることができた。課題として,氷晶の形成が必ずしも安定しておきておらず,対策をとった管部以外の場所への降霜防止と試料プレートの撥水処理,平滑試料プレートの選定に課題が残った。 また,招聘研究員として北海道大学に滞在中のアラスカ大学サッセン教授を招聘し,観測的なエアロゾルー雲変換プロセスについての知見の紹介を受け,室内実験手法や結果の比較について意見交換を行った。
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