研究概要 |
二酸化炭素気泡の水中への溶解過程を対象として、初期気泡径・界面活性剤濃度・界面活性剤の種類・液相乱れ強度が物質輸送係数に及ぼす影響を実験的に調べた.この際,物質輸送係数を精度良く評価するため,既存の気泡画像処理手法を二酸化炭素気泡計測用に最適化した.さらに,計測精度を高めるため,解像度の高い気泡画像を長時間取得できるようにトラバース装置による気泡追跡装置も製作した.測定結果の分析から,(1)界面振動を伴う非球形気泡の物質伝達係数には表面張力波が重要な役割を果たしていること,(2)界面活性剤が非球形気泡の物質輸送係数に及ぼす主な効果の一つが,表面張力波減衰による濃度境界層更新効果低減であることを立証した.また,バルク乱れ強度が比較的弱い場合には,液相乱れが物質伝達係数に及ぼす影響は無視できる程度に小さいこと,界面活性剤の種類による物質輸送係数の変化は主に界面活性剤の気液界面への吸着・脱離特性の相違に起因すること,ならびに海水を模擬した塩化ナトリウム水溶液中では塩化ナトリウムの混入に伴う飽和溶解量低下が無視できないことを明らかにした.以上の実験結果に基づき,実用面に配慮した物質輸送係数実験相関式を提示するとともに,One-way気泡追跡法に物質輸送モデルを組み込み,二酸化炭素気泡流数値予測手法のフレームワークを構築するとともに,本手法により鉛直円管内二酸化炭素気泡流の気泡径,ボイド率分布を精度良く予測できることを確認した.
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