研究課題/領域番号 |
18656077
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
知能機械学・機械システム
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
石渡 信吾 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10223041)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 確率共鳴 / 確率的制御 / 走性行動 / ゾウリムシ / ノイズ / 自律探索型ロボット / メカトロニクス / 制御工学 / 単細胞生物 |
研究概要 |
制御回路単体の実験では1/10のSN比でも適温相当の微弱なセンサー信号を検出可能であるが、昨年度、この条件ではフィールドでの走行実験は十分な結果を示せなかった。しかし、現実のゾウリムシでも1匹では同程度の探索能力しか見いだせず、この結果は否定的なものではない。そこで条件を緩和して、数分の1程度のSN比で、再度パラメータの最適化を図ったところ、明確な走性行動をはじめて示すことができた。実験では光センサーによる光走性を試したが、光源を移動させても、新たな光源に向かう様子を観測でき、変動環境に対する追従性も確認することができた。なお、これまでは左右の走行系を2回路独立に制御する方式であったが、単細胞生物であるゾウリムシを徹底的に模擬するために、1回路での制御を新たに試みた。これはゾウリムシの繊毛逆打ちと泳ぎの螺旋運動によるランダムな方向変換に関する知見に基づいている。さらに、ゾウリムシの適応、すなわち適温のメモリ効果については、温度センサーを用いた回路実験で実現できたが、光走性系のロボットへの実装には至らなかった。以上、ゾウリムシの走性行動を模擬することで、強ノイズ下で動作し得る自律探索型ロボットの基本形を構築することができた。 実際のゾウリムシについて確率共鳴の効果を検証しようと試みたが、弱い刺激に対する緩和時間が15秒程度と非常に短く、明確な効果を確認することはできなかった。そこで、走性行動の数理モデルを作り、数値シミュレーションでその効果を確認した。強ノイズ下では無限の感度を有するより、有限の感度による閾値応答の方が適温探索に有利であることを示した。 一方、確率共鳴に基づいた制御系の応用として、ON-OFF制御系への導入を試み、温度制御やバランス制御、ロボットハンドでの有効性を示すことができた。今後、生物システム模倣の観点から、ノイズを積極的に利用した本制御系の工学的応用が期待できる。
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