研究概要 |
アイガモ群を実験室で飼育し,メカガモの翼動作,鳴声,餌出しによるアイガモ群集団行動の統率を試みて性能を評価した.結果として,実験室内でメカガモによるアイガモ群の統率と誘導を実現した.また,実験室から通路への出入りや通路での往復の誘導も実現した.また,屋外でのメカガモによるアイガモ群集団行動の統率を試みた結果,様々な音や視野に入る動きのある物などの環境外乱によって,集団行動の維持耐性レベルが屋内と比較して低下することが認められた.アイガモ群が一時的にメカガモから離れてしまう状況が生じたが,メカガモの翼動作,鳴声,餌出しによって再び統率して誘導を継続できることを明らかにした. アイガモは,成長過程においてサイズ,行動パターン,鳴声が大きく変化するため,アイガモ群の行動や鳴声を,継続的飼育において収集し分析した.分析結果から,成長・変化するアイガモ群の集団行動統率手法として,メカガモの翼動作,鳴声,餌出しの三機能のうちの単一機能だけ適用する方法では集団行動統率効果が得られないことを明らかにし,三機能をアイガモ群の状態に応じて順に適用することによって集団行動統率効果を得る手法を確立した. メカガモについて,ボディを3次元造形し,水田(不整泥水地)に適した移動機構を設計製作し,性能を評価した. 管理者が水田の雑草状況を把握して集団行動の統率経路を指定する方式として,単眼MHDを利用し,メカガモに搭載した無線カメラの画像を右目で確認し,水田全景を左目で確認しながらメカガモを操縦する方式を提案し,その効果を水田における実験で明らかにした. 以上の19年度研究成果と18年度研究成果を総合して,メカガモによってアイガモ群の集団行動を効果的に統率できる生物共生型環境調和育苗システムの萌芽的基盤技術を確立した.
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