研究概要 |
ハードウェアの研究では,前年度に引き続いて触覚センサとハンドシステムの開発を中心に行った.開発したハンドシステムが環境に対応して動作できるように,指表面に発生した物体と指表面の間の滑りに基づいて指先端の位置・姿勢を制御するアルゴリズムを組み込んだ.このアルゴリズムを利用してテーブル上の物体を持ち上げ,再び置く実験を行い,すべり落とさない最低限の力で把握して,物体が再びテーブルに置く瞬間にかかる衝突力を最低にできることを確認した. ソフトウェアの研究でも前年度に引き続き指先を円で表して,円形の物体を所定の場所に運ぶ問題に対して進化論計算を実施した.本研究で新しく開発した進化する行動表により1体から4対までのロボットについて物体輸送問題の進化シミューレーションを行った.その結果得られた行動表をロボットに組み入れて物体輸送を行い,協調作業ができることを確認した.この手法は多指ハンドに適用できるために,適用に向けてソフトウェアの整備を行った. さらに,本手法をヒューマノイドロボットの手探りによる環境把握・ナビゲーション行動決定に適用するための研究も前年度に引き続いて進めた.今年度では,本ハンドシステムをヒューマノイドロボットに装着して紙コップを把持させる実験を行った.紙コップに,水を注ぎいれてもその紙コップを握り潰さずにしかもすべり落とすことなく適切な力で把握することを確認した.
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