研究課題/領域番号 |
18656080
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
知能機械学・機械システム
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
香川 明男 長崎大学, 工学部, 教授 (00093401)
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研究分担者 |
大貝 猛 長崎大学, 工学部, 准教授 (60253481)
水本 将之 長崎大学, 工学部, 助教 (90325671)
高尾 慶蔵 (高尾 慶藏) 長崎大学, 工学部, 抜術職員 (90380823)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 水素貯蔵合金 / 活性水素 / パラジウム合金 / 癌細胞 / バナジウム合金 / がん細胞 |
研究概要 |
パラジウム-ニッケル合金の組成の違いによる水素の放出特性および放出される水素種を調べるために、水素を吸蔵させた種々のパラジウム-ニッケル合金を、40℃、pH約7.0の生理食塩水中に配置し、合金から放出される水素ガスの体積および生理食塩水のpHの時間変化を測定した。その結果、純パラジウムからは水素ガスの放出及びpH変化はほとんど観察されなかったが、Pd-5at%NiおよびPd-11at%Ni合金では、水素ガスの放出及びpHが減少する変化が観察された。また、Pd-5at%Ni合金では長時間にわたり水素が放出され、Pd-11at%Ni合金では比較的短時間で水素の放出が完了することがわかった。これは、それぞれの合金の平衡水素圧に対応していると考えられる。捕集された水素ガスの体積から、合金から放出された水素のほとんどは気体として放出されるが、一部は水素イオンとして生理食塩水中に残留し、pH変化を生じたことがわかったが、活性水素の存在を確認することはできなかった。しかし、水素ガスおよび水素イオンのいずれも合金から放出された活性水素を経由して生成したと考えられるので、次に水素を吸蔵させたパラジウム-ニッケル合金を、種々の培養細胞中に配置して、放出される水素が細胞に及ぼす影響について調べた。その結果、細胞種により影響の程度は異なるが、比較的短時間で明らかに水素によると見られる細胞の増殖の抑制または死滅が観察され、その影響が及ぼされる範囲が存在することが確認された。したがって、パラジウム-ニッケル合金をニードル状等に加工して癌細胞近傍に配置することにより、有望なピンポイント癌治療法の確立の可能性が示唆され、水素吸蔵合金を利用した癌治療技術に関する特許の出願に至った。今後は、放出水素が細胞に及ぼす影響及びそのシステムについてより詳細に調査し、新規癌治療法の確立を目指す予定である。
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