研究課題/領域番号 |
18656088
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電力工学・電気機器工学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
浪平 隆男 熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 准教授 (40315289)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2006年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | パルスストリーマ放電 / レトロトランスポゾン / 遺伝子 / スサピノリ / 高電界 / Marx / 水中パルスストリーマ放電 / アオコ |
研究概要 |
レトロトランスポゾンは、多くの生物ゲノム中に存在する転移因子であり、組織培養やウイルス感染などの環境ストレスによって活性化されることが多く、また、その転移の際にゲノム上の他の遺伝子を破壊することもあるため、陸上植物における変異体の作出や遺伝子機能解析等の有効手段として注目されている。我々はこのレトロトランスポゾン転移の新たな誘導因子として、水中にて高電界や大電流、衝撃波、紫外線、ラジカルを同時発生できる水中パルスストリーマ放電を提案し、平成19年度はその誘導効果に関する検証を進めた。 本研究では、水中パルスストリーマ放電の形成容器として点対円筒型の放電電極を使用した。パルスストリーマ放電処理は、滅菌済みの精製水で満たされた放電電極ヘスサビノリを投入し、その後放電を発生させることで実施した。パルスストリーマ放電処理の有無によるスサビノリの各種レトロトランスポゾン遺伝子の転写状態を確認した結果、パルスストリーマ放電によりPyRE1遺伝子の転写活性が増加していることが確認され、これまでにレトロトランスポゾン遺伝子の活性化に対する最適放電処理回数も明らかにした。また、放電処理前後のスサビノリ、その葉状体及びその細胞の様子を観測した結果、放電処理前後の植物及び細胞には大きなダメージは認められず、放電処理による植物の成長阻害等の影響はないことが確認された。これらの成果より、水中パルスストリーマ放電は、レトロトランスポゾンの転移を基盤とした新たなスサビノリの変異体作出技術と成りうると考えられる。 スサビノリは重要な海産作物として認知されており、近年、海洋植物のモデル実験系としても注目されている。本研究においては、衝撃エネルギーのスサビノリの変異体作出及び遺伝子機能解析ツールとしての応用展開が示唆された。なお、現在、電界、電流、衝撃波、紫外線、ラジカルの個々の活性効果を調査中であり、水中パルスストリーマ放電によるレトロトランスポゾン遺伝子の活性化メカニズムの解明が待たれる。
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