研究課題/領域番号 |
18656089
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 英機 北海道大学, 名誉教授 (60001781)
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研究分担者 |
赤澤 正道 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (30212400)
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研究期間 (年度) |
2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 量子デバイス / 表面不活性化 / III-V族化合物半導体 / GaAs / 単電子デバイス / 高誘電率膜 / トンネル障壁 / 消費電力 |
研究概要 |
量子デバイスの消費電力は極低温では小さいが、室温では電子エネルギーの熱的広がりによるスイッチ特性のだれにより増大する。本研究では、「量子ドットの空間的位置を電界で制御しトンネル確率を制御する」という原理にもとづく「電界移動型量子ドット単電子分岐スイッチ」について、その原理を確認することと、その効果を妨げる表面準位を低減することを目的として研究を推進し、次の成果を得た (1)3つのショットキ・ラップゲートにより、AlGaAs/GaAs量子細線T型分岐上に、量子ドットと3つのトンネル障壁を形成した「単電子分岐スイッチ」を試作し、その動作を測定した。その結果、低温で通常の単電子トンネル理論よりも急峻なスイッチ特性が得られた。しかしその急峻さは温度の上昇と共に急激に消失した。 (2)デバイスの特性を量子ドットを円形近似した単純な解析モデルにもとづき解析して実験特性と比較した結果、ドットの電界移動によるトンネル確率の指数関数的変調が急峻なスイッチ特性を実現することが、確認された。また温度上昇による特性の劣化の主な理由は、低温では凍結している分岐スイッチの表面準位が、室温に近づくほど活性化し、ドットの電界移動を妨げることにあることが判明した。 (3)その後の研究の大半は、「シリコン界面制御層(Si ICL)」を用いた代表者らの表面不活性化技術を、種々のファセット面をもつAlGaAs/GaAs量子細線に適用可能とすることに費やされた。その結果、(001)面、(111)B面上でのSi膜のMBE成長機構が解明され,また厚さ1nm以下のSiN超薄膜バッファが、空気中でもSi ICL構造を安定に保護することが見出された。 (4)さらに、将来のIII-V族半導体量子デバイスのゲート制御構造として、高誘電率Hf酸化膜をもつSi ICL MISゲートスタックを検討した。その結果フェルミ準位ピンニングが完全に除去され、界面準位密度の最小値として、10^<10>cm^<-2>eV^<-1>台の値を得られた。これは、将来の量子デバイスの研究開発に極めて有望な結果である。
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