研究概要 |
ドップラーソーダを小型ボートに搭載して洋上風況観測を行うためのドップラーソーダ水平保持装置を開発した.水平保持装置は2軸振り子で構成され,ボートの揺動に対してドップラーソーダを常に水平に維持し,振動を抑えるための免振および減衰装置を開発した.免振化は付加質量を振り子回転軸より高い位置に設置することにより振り子振動数を低下させ,ボート固有振動数との共振を避けることで実現した.減衰装置は,スポンジ状の材料を振り子下部に取り付け,床面との摩擦により減衰させる摩擦ダンパーを用いた.この装置を用いて洋上風況観測を行ったところ,対数則やべき乗則に従う風速鉛直分布を捉えることができた.また,地上のプロペラ型風速計と比較したところ,高い相関性が示され,観測データの妥当性が実証された. さらに,洋上観測から得られる点状の風況データに対して,面的な風況特性を把握するための風況数値シミュレーションを実施した.メソ気象モデルMM5を用いた解析を行い,風速計観測値などと比較した.概略的な風況特性は得られたが,解析対象領域を小さく取りすぎたため,観測値との整合性について今後に課題を残している. 以上の洋上風況観測や広域的な風況数値シミュレーションの組み合わせにより,今後,瀬戸内海沿岸のコンビナート沖合の洋上における風況精査および風力発電賦存量などを明らかにしていく予定である.
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