研究概要 |
本研究は、申請者の開発した高誘電率透明ナノ結晶化ガラスを利用して、エッチングおよび金属コーティング技術を確立し、高分解能を有する新規な近接場光ファイバープローブを作製することを目的とする。高誘電率のガラスファイバーあるいはナノ結晶化ファイバーを利用して新規な近接場光ファイバープローブを作製しようとする試みはこれまで全く報告されていない。今年度に得られた結果を以下に示す。 40BaO-20TiO_2-40SiO_2組成のガラス(BTSと呼称)および25K_2O-25Nb_2O_5-xSiO_2-(50-x)GeO_2組成のガラス(KNSG)について、昨年度に引き続き融液からの引き上げ法により、直径が100〜200μmのガラスファイバーを作製した。電気炉を用いてナノ結晶化ファイバーを作製した後、メニスカスエッチング法によりファイバー先端の先鋭化を行い、エッチング条件と先端形状との相関を調べ、最適なエッチング条件を明らかにした。 ナノ結晶化ガラスファイバーの近接場光プローブとしての高機能化を目指し、Ba_2TiSi_2O_8ナノ結晶中への希土類イオンの固溶を試みた。40BaO-20TiO_2-40SiO_2-0.5RE_2O_3(RE:Eu, Nd, Er, Dy)ガラスの結晶化による、希土類イオンがBa_2TiSi_2O_8ナノ結晶中に固溶することを、蛍光スペクトル、X線回折、Judd-Oflt解析等から明らかにした。光非線形Ba_2TiSi_2O_8ナノ結晶中の希土類イオンの配位環境の非対称性が大きいことから、発光強度が大きくなり、プローブとしてもナノ結晶を利用する優位性が明らかになった。特に、Dy^<3+>イオンの場合は、ナノ結晶中で極めて大きな発光効率を示すことを見出した。
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