研究概要 |
平成18年度の撮像結果を解析し,分解能を落としている要因を,線源,拡散板,試料回転ステージ,FZP,検出器など3-Dイメージング光学系を構成する各要素毎に丁寧に検討した。この結果,回転ステージの回転ぶれによる分解能低下に注目し,これが分解能に及ぼす影響の解析と,撮像後にこれを補正して画像の分解能を向上させる手法を検討した。実際にこれら一連の手法を前年度に撮像した画像に適用し,分解能の改善度合いを評価した。 また,前年度に引き続き,wavelet変換を利用した関心領域撮影法を開発し,実用に耐えるレベルに達した。また,これを適用した場合の分解能の評価も行い,所望するレベルであることを確認した。これにより,ナノからミクロをズームすると謳う本科研費課題の中核となる要素技術が完成したことになる。実際に,研究代表者が放射光CT用に開発してきたその場材料試験技術を併せて適用し,提案する『関心領域三次元X線顕微鏡法』を試みた。対象材料は,セル構造が粗大で小さな試験片を採取できない発泡金属材料である。大きな試験片中の関心領域(今回実施したのは直径で1mmの円筒状領域)で高分解能(同じく0.5μmで実施)観察することにより,外部負荷下での多数の損傷の発生と伝播,主亀裂の発生と進展による破壊挙動を明瞭に可視化できた。また,これとは別に,これまでは透過型電子顕微鏡により可視化されていた金属材料中の時効析出物をFZPとコンデンサーレンズを組み合わせた結像光学系のX線吸収マイクロトモグラフィー法により明瞭に可視化し,その3D分布や析出方位解析などにも成功している。 以上の成果により,技術開発とその材料科学、工学分野での有効性,革新性がデモンストレーションされたと考える。
|