研究概要 |
プロセス工学を代表する学術集会である,化学工学会の秋季大会の講演要旨集(1999年度,2001年度,2003年度)の文書クラスタリングを行い,基盤技術分野(6分野)と展開技術分野(7分野)による,学術的多様性の状態を可視化し,相互の相関,クラスタを介した分野間の対応関係を可視化した前年度の成果に基づいて,今年度は2005年度,2006年度,2007年度に開催された講演要旨集のデータを追加・検証した。至近の年度毎の動向分析を行った結果,研究コミュニティの相互の位置はあまり変化しなった2003年度までの状況に対し,2005年度以降は年度毎に変わっていることを明らかにした。これは2003年度に化学工学会は従来の研究会制から,現在の13部会制への移行を終え,とくに展開技術分野では新たな枠組みによる部会シンポジウムが企画されるなど,従来とは異なる研究者の参画により研究コミュニティが活性した結果,相互の位置関係が変わりつつあると推測される。 国が重点的に取組む研究開発として公表された,第3期科学技術基本計画の環境分野に対して,化学工学のどの研究コミュニティが的確に対応できるかを分析するため,基本計画の環境分野の推進戦略6研究領域(気候変動研究,化学物質リスク・安全管理,3R技術,水・物質循環と流域圏,バイオマス利活用,生態系管理)からそれぞれを代表するきーワードを抽出し,本手法を適用した。その結果,6研究領域は「環境部会」を取囲む形で隣接するが,環境部会よりも,より近くに位置する研究コミュニティが存在すること,その関係性が年度で変化せず,常に隣接する研究コミュニティがあることを明らかにした。結果を学会で発表し,より精度を高めるための示唆を受けた。 本研究で提案した手法により,国の政策にも的確な解を与える成果が期待できる,研究プロジェクトチームの合目的な構成例を提案できると考えられる。
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