研究概要 |
本研究では、テロメラーゼ酵素活性検出のメガ・ギガレベルでのアッセイ系に向けて、微少領域(ナノスペース)での効率的な酵素反応を実現する手法を確立することを目的とした。この手法では、ナノ担体上に複数種の酵素を集積化し、ある酵素の触媒作用による産物が、別の酵素の触媒作用に必要な物質または基質となるように酵素反応系を設計している。この連鎖触媒作用が近接場で行われることにより、反応効率が向上し、微小領域での高感度アッセイが期待できる。 細胞抽出液中のテロメラーゼによって塩基が伸長し、その際に生成されるPPi(ピロリン酸)の検出をパイロシークエンス法に基づいて検出する手法を採用した。まず、PPiの検出に必要な酵素群(ピルビン酸リン酸ジキナーゼ、及びルシフェラーゼ)をナノ担体上に集積化する方法の検討を行った。化学架橋によりルシフェラーゼ酵素比率を上げることで、PPi検出感度の向上が示された。 次にギガタイタープレートを用いたPPi検出に向けたシステム構築を行なった。発光測定装置として,高感度EM-CCDおよび暗箱を用いた。発光検出システムの条件検討には、ミニマイクロタイタープレートを用いた微小領域内でのルシフェラーゼによるATP→発光を高感度に計測した。その結果,Accumulate:50cycles, EM-DAC Level:255,Pixel readout rate:35MHzの場合,300fmol/wellのATP濃度条件化においてルシフェラーゼ由来の発光を検出することが可能であった。この条件下で,各種表面処理剤により表面コーティングをしたギガタイタープレート内での反応およびその発光検出の条件検討を行った。上記実験条件により、微量のテロメラーゼから生産されるPPiを高感度に検出できることが示唆された。
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