研究概要 |
低圧力条件下においてマイクロ空気プラズマジェットを発生させたところ、大気圧条件下では発現しない陽電極周りに黄緑色のアフターグローが観測された。このアフターグローは一様気流中では均一であるが、電極のごく近傍で発光パターンに特徴的な差異が見られた。本研究課題では、このアフターグローに着目し、その発光の物理化学メカニズムを詳細な分光計測により明らかにし、さらに、その知見をもとに壁面触媒性に関連するアフターグローと固体表面の干渉について検討した。以下に主な得られた結果を示す。 1.低圧マイクロ空気プラズマジェットのアフターグローの分光計測より、(1)空気の構成化学種であるN_2,N_2^+のスペクトル、Nと0原子線および波長580nm近傍に最大値を持つ連続スペクトルが明瞭に観測された。(2)アフターグローの黄緑色の発光は、連続スペクトルの強度が強い波長範囲の色に対応していることがわかった。(3)窒素原子線を用いたボルツマンプロットから電子的励起温度は約5,000〜7,000Kであり、あまり測定位置に依存しないことがわかった。(4)連続スペクトルを黒体輻射関数と仮定すると、その色温度は約5,000Kであった。(5)スペクトルマッチング法によりN_2 2+とN_2^+ 1-バンドに対する振動温度と回転温度を推定したところ、その温度値は測定位置に依存することがわかった。 2.アフターグローと新たに製作した炭素被覆型陽極固体表面の干渉実験から、炭素被覆型陽極を使用した場合、通常の銅製陽極を使用した場合に比べて、アフターグローの発光領域が減少し、異なるスペクトル分布を示すことがわかった。
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