研究課題/領域番号 |
18656273
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大井 隆夫 上智大学, 理工学部・化学科, 教授 (90168849)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | ガリウム / リチウム同位体 / カルシウム同位体 / 同位体効果 / グラファイト / 酸化還元 / 電気化学的挿入 / 同位体分離係数 / 分離係数 / エチレンカーボネート |
研究概要 |
本年度は液体ガリウムへのリチウム挿入を検討した。その結果、固体ガリウムの場合とは様相がたいぶ異なることが判明した。ガリウムは室温で固体であるが、一度液化した後室温に戻しても液体のままであったため、実験は室温で行った。液体ガリウムの場合一番の問題となったのは、エマルジョン化が起こり、ガリウムと電解液が混ざってしむことである。これを避けるため、リチウム挿入は、ガリウムおよび電解液を撹拌せずに行った。通電すると電解液と接触するガリウム表面上にLi-Ga合金の被膜が形成された。当初、この合金がガリウム内部に拡散し、常に新しいガリウム面が電解液と接触して、挿入が定常的に起こることを期待した。しかし、実際には表面の合金はガリウム内部に拡散せず、また撹拌が不可であったため、定常的なリチウム挿入は断念した。同位体効果に関してはLiが選択的にガリウムに取り込まれ、分離係数として1.02程度の値が得られた。この値は、電解液の種類に殆ど依存せず、また固体ガリウムの場合と同程度であった。分子軌道法(MO)に基づく理論計算では、3倍程度大きなリチウム同位体効果が得られており、実験値と適合していない。その原因の1つとして酸化被膜の形成が考えられ、現在この被膜が形成されない条件での挿入実験を検討中である。 リチウムに比べ、カリウムの挿入は格段に難しいことが判明した。Ca^<2+>からCa^0への還元が難しいこと、ガリウム中でのカルシウムの拡散が遅いことが主な原因であると考えられるが、Ca-Ga合金が形成されない可能性もある。そこで、ガリウムではなく、グラファイトを挿入ホストとする系を検討した。その結果、電解質溶媒にDMSOを用いた系で、カルシウムの挿入が確認された。同位体効果の有無は確認されていないが、MO計算ではその可能性が示唆されており、現在実験が進行中である。
|