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アリの育種がもたらすアブラムシの進化の実証およびその機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18657008
研究種目

萌芽研究

配分区分補助金
研究分野 生態・環境
研究機関信州大学

研究代表者

市野 隆雄  信州大学, 理学部, 教授 (20176291)

研究期間 (年度) 2006 – 2007
研究課題ステータス 完了 (2007年度)
配分額 *注記
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
キーワード共進化 / 共生 / 種特異性 / アリ / アブラムシ / 育種 / 選択的捕食 / 形質進化
研究概要

1. まず、クヌギクチナガオオアブラムシを野外で飼育するための装置の開発に成功した。クヌギ幹上に通風性の高い小型のプラスチックケージをとりつけ、毎日容器内にたまった甘露を取り除くことで,安定的にアブラムシを生存,繁殖させることに成功した.これを用いて長野県各地から採集してきた別クローン由来のアブラムシコロニーを隔離累代飼育して繁殖させた.
2. 次に,多数の2齢虫,3齢虫,4齢虫および成虫に個体識別マークをほどこし,各個体について,経日的に甘露分泌量を測定した.得られた甘露分泌量のデータをクローン間,クローン内に分けて分散分析した結果,甘露分泌量にクローン間での遺伝分散が存在することを明らかにした。このことは、アリの選択的捕食によってアブラムシの甘露分泌量が進化する可能性を示すものである。なお、上記の実験から得られた甘露分泌量の遺伝率は比較的低かった。これは野外飼育系であることから,環境分散の影響が大きかったことが影響したものと考えられる.
3. アリが,自身の化学物質をアブラムシに塗りつけていることを、両者の体表面炭化水素の化学分析から明らかにした.アリとアブラムシが共有している体表面化学物質の中には,アブラムシ自身が分泌する「アリに似せた化学物質」と,アリがアブラムシに塗りつける「マーキング物質」の両方があることを,アリ非随伴アブラムシとの比較から明らかにした。一方、あるアリコロニーに随伴されていたアブラムシを別コロニーのアリに随伴させると有意に捕食率が上がることを示した。これらの結果は、自コロニーのマーキング物質の多寡によってアリが捕食対象のアブラムシを決めている可能性を示唆するものであり、アリによる「育種」の具体的な実現メカニズムの一端を示す結果である。

報告書

(2件)
  • 2007 実績報告書
  • 2006 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2008 2007

すべて 学会発表 (9件)

  • [学会発表] アリによるアブラムシの「牧畜」:体表炭化水素によるマーキングと化学擬態.2008

    • 著者名/発表者名
      遠藤真太郎・市野隆雄
    • 学会等名
      第52回日本応用動物昆虫学会大学
    • 発表場所
      宇都宮大学
    • 年月日
      2008-03-27
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリによる選択的捕食がもたらすアブラムシの進化.(ポスター賞「行動学部門優秀賞」受賞)2008

    • 著者名/発表者名
      高橋聖生・半田千尋・市野隆雄
    • 学会等名
      日本生態学会第55回大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-03-17
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリーアブラムシ共生系における化学的コミュニケーション.2008

    • 著者名/発表者名
      遠藤真太郎・市野隆雄
    • 学会等名
      日本生態学会第55回大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-03-17
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリによるアブラムシの「品種改良」-アブラムシの甘露分泌量は遺伝するのか.2007

    • 著者名/発表者名
      高橋聖生・市野隆雄
    • 学会等名
      山岳シンポジウム「上高地の自然史」
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      2007-10-13
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリーアブラムシ共生系におけるにおいによる擬態.2007

    • 著者名/発表者名
      遠藤真太郎・市野隆雄
    • 学会等名
      山岳シンポジウム「上高地の自然史」
    • 発表場所
      信州大字
    • 年月日
      2007-10-13
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] The role of cuticular gydrocarbons in ant-aphid mutualism: Chemical marking and mimicry2007

    • 著者名/発表者名
      Endo, S. and Itino, T.
    • 学会等名
      4th Asia-Pacific Conference on Chemical Ecology, 2007
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2007-09-13
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリによるアブラムシの育種2007

    • 著者名/発表者名
      高橋聖生・半田千尋・市野隆雄
    • 学会等名
      第9回日本進化学会京都大会大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2007-09-01
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリ・アブラムシ-寄生蜂系における化学擬態の進化.2007

    • 著者名/発表者名
      遠藤真太郎・市野隆雄
    • 学会等名
      第9回日本進化学会京都大会大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2007-09-01
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [学会発表] アリは随伴するアブラムシに化学的な「目印」をつけている!?2007

    • 著者名/発表者名
      遠藤真太郎・市野隆雄
    • 学会等名
      昆虫DNA研究会第4回研究集会要旨集
    • 発表場所
      信州大学理学部
    • 年月日
      2007-05-03
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書

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公開日: 2006-04-01   更新日: 2016-04-21  

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