研究課題/領域番号 |
18657037
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
和田 芳直 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 研究所・代謝部門, 所長兼部長 (00250340)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 質量分析 / レーザー脱離イオン化 / 糖タンパク質 / ナノ構造 / 表面イオン化 |
研究概要 |
マトリックス補助剤を必要としないレーザー脱離イオン化のために開発したサブミクロンレベルの凹凸を形成した多孔アルミナの表面を金属で被覆した構造をもつ試料板について、その表面金属の役割を初年度に明らかにした。その成果を論文として発表するために、低分子を中心に糖、アミノ酸、脂質のデータを積み上げる一方で、この試料板が他の類似ナノ構造試料板と対比して優れた点であるクンパク質のイオン化についても、質量2万を超えるトリプシノーゲンの他、糖タンパク質であるリボヌクレアーゼBのデータを取得した。リボヌクレアーゼBについては、その高マンノース型糖鎖のプロファイルを忠実に再現する相対イオン強度で検出できることがわかった。以上の成果をもって、Analytical Chemistry誌に論文を掲載した。 続いて、多孔アルミナ層の役割について研究を行った。試料板を60℃、120℃、280℃で加熱すると温度依存性にイオン化性能を失うことを見出した。このことから、アルミナ表面に吸着している水分子がイオン化(=プロトン付加)に関与することがわかった。さらに、試料の溶媒に酸を加えることがイオン化を改善しないという、MALDIやDIOSなどと異なる点を明らかにした。後者の所見もアルミナ表面の水がプロトン源となっていて、従来から考えられていた試料添加前の溶液においてすでに存在しているイオンpreformed ionsが脱離するのではないことを明らかにした。すなわち、多孔アルミナ層において、露出するアルミナ面が広いほどイオン化性能が高いと推測されたので、細孔形態を工夫して露出面積を大きくしたところ、予想通りに性能を向上することができた。 今後、薬物血中濃度の迅速定量や糖鎖解析など応用面での展開を計画しているが、この特異な試料板の基本情報を2年間の研究において得ることができた。 (研究協力者:首都大学東京 益田秀樹教授;神奈川科学技術アカデミー 柳下崇研究員)
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