研究課題/領域番号 |
18657048
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90223297)
|
研究期間 (年度) |
2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | バクテリオロドプシン / 古細菌 / ATP合成 / 光エネルギー変換 / 大腸菌 / 好塩菌 / べん毛運動 |
研究概要 |
高度好塩性古細菌に存在する、光駆動性プロトン輸送タンパク質バクテリオロドプシンを大腸菌で発現させた場合、膜に正常な形でフォールディングした状態で発現せずに、インクルージョンボディーとなって発現する事が知られていた。本研究では、バクテリオロドプシンの類似タンパク質であるデルタロドプシンを用いる事で、機能発現する事が可能である事を示し。これまでに、pET-BL21(DE3)のシステムを利用して、 (1)IPTGおよびレチナールの添加によって、大腸菌の膜上でレチナールを結合した、オプシンシフトが起こった状態で発現すること。 (2)そこから調製した膜並びに、その膜からHisタグを用いて精製したデルタロドプシンが、好塩菌で発現している状態のバクテリオロドプシンと似た光サイクル反応を示すこと。 (3)大腸菌で、薬剤排出ポンプEmrを共発現させることで、光駆動性の薬剤排出が観察できたこと。 等を、明らかにして、報告した(BBRC 341 285-290)。さらに、このデルタロドプシンを発現した大腸菌が、光によって生育が抑制される事。その抑制が呼吸活性の抑制で生じること。また、呼吸活性を抑制した状態では、光リン酸化反応が見られることを明らかにした。また、本課題の中心となる光により運動の変化に関しては、BL21株がべん毛系が欠損している所為か、泳がないことが判明したので、RP437株を分与してもらい、それを用いた。さらに、RP437株で発現させるために、発現系もpbad-Arabinoseの系に変更した。落射蛍光システムを利用した照明系の暗視野観察の系はうまく作成できて、べん毛運動の場合もATP合成活性と同じく、呼吸活性を抑制した状態では、光によって運動が促進される事が分かってきた。また、ソフトアガーによるスワーム実験では、通常の状態(つまり呼吸活性を抑制していない状態)では、レチナール存在下で、運動性がむしろ低下している事が分かった(現在、投稿準備中)。これらの結果は、大腸菌の生体システムの中に、単に光駆動系のデバイスを組み込むだけでは、物質-エネルギー代謝にアンバランスが生じ、生物個体としては不都合である事を示している。
|