研究課題
萌芽研究
DNAメチル化修飾は、ヒストンのメチル化・アセチル化・リン酸化修飾と同様、「エピジェネティックな情報」のひとつとして注目され、細胞の分化方向の決定づけやインプリンティング、X染色体の不活性化機構に関与している。しかしながら、DNAメチル化脱メチル化の制御機構やその意義については不明な点が多く残されている。我々はヒトTリンパ球細胞株Jurkat細胞およびヒトCD4^+Tリンパ球を用いて、interleukin-2遺伝子(IL-2)プロモーターのメチル化状態、ヒストン修飾状態、そしてIL-2発現状態について検討を行った。その結果、ヒトではIL-2遺伝子プロモーター-252bpのCpGが特異的に脱メチル化していることが初めて明らかとなった。-252bpはIL-2の転写に必須なOct-1が結合する領域にあり、メチル化によりOct-1およびNFAT転写因子の結合が阻害されることにより転写活性が抑制されることが判明した。さらに、RNAiを用いてCpGメチル基導入すると、IL-2遺伝子の発現抑制、転写因子の結合阻害およびヒストンテイルの修飾に変化が認められたことから、プロモーターの脱メチル化がIL-2遺伝子発現には必要条件であることが示唆された。また、naive CD4^+Tリンパ球と脱刺激後のCD4^+Tリンパ球とでは、両者ともIL-2は発現していないがプロモーターのメチル化状態が異なっており、刺激に対する反応速度や感度に違いを認めた。この結果から脱メチル化がエピジェネティックな記憶として機能していることが示唆された。(EMBO.J.2006,25,1081-1092)
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
EMBO J 25
ページ: 5339-5348
Molecular and Cellular Biology 26.21
ページ: 7966-7976
EMBO J. 25
ページ: 1081-1092
J Biol Chem. 281(1)
ページ: 20-26