研究概要 |
1.ヘキソサミン酸やアミノ糖酸の炭素骨格を酵素化学的に、化学的に開裂させることによって、さらに付加価値が高く具体的な用途と需要を伴うセリンを高効率かつ高収率に製造できる全く新規な方法の開発を目的に、該当する酵素のスクリーニングから研究を開始した。ミリグラム単位で市販されているグルコサミン酸以外に、マンノサミン酸もガラクトサミン酸などは市販されていない基質を調製して、スクリーニングに使用した。スクリーニングで有効な結果を与えた微生物のうち、容易に同定できたものには、Pseudomonas属、Aerobacter属や、酢酸菌が新規なアルドラーゼ生成微生物として明らかになった。本研究によって新しい生物化学反応の存在を証明するとともに、まだその存在が記載されていない2,5-ジアミノソルビトールのような新規なアミノ糖が容易に調製できた。 2.アルドラーゼ反応の結果生成する反応生成物の還元末端を酢酸菌のアルデヒド脱水素酵素で酸化することで、セリンが化学量論的収率で得られた。研究を開始前から予想されていたことであるが、アルドラーゼ反応で、アミノ糖酸類の分解反応ばかりでなく、合成反応にも興味深いものが多数見られ、それらはアルドラーゼ反応における7炭糖(EC4.1.2.15)や8炭糖(EC4.1.2.16)の合成反応と類似していた。これらの結果は窒素を含む新しいアルドラーゼ反応が多数存在することを示すものである。山口大学による新規なアルドラーゼの権利化 3.セリンが製造できるようになって、これをトリプトプァンへ導く道程としてシキミ酸経路からインドールの高速・高収率な製造法が確立されないと、本研究を担保することにならない。そこでキナ酸からデヒドロシキミ酸へ酢酸菌の酸化発酵による方法、デヒドロシキミ酸からシキミ酸へ同じ酢酸菌の不斉還元酵素系を使用する方法を明らかにした。
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