研究課題/領域番号 |
18658057
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田辺 創一 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (90272624)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 乳酸菌 / 抗アレルギー / 腸管細胞 / タイトジャンクション / リポテイコ酸 / Toll-like receptor 2 |
研究概要 |
安全性の高い食物アレルギー対策ワクチンを作製することを目的として、今年度は引き続き、乳酸菌を経口ワクチンとして用いるための検討を行った。ヒト腸管細胞におよぼす乳酸菌の効果について、TNF-αで炎症を誘導したCaco-2細胞を用いて検討した。L.rhamnosusやE.hiraeなどの乳酸菌は、Caco-2細胞におけるIL-8などの炎症性サイトカインの発現を抑制し、タイトジャンクション(TJ)機能を強固にする作用のあることが明らかとなった。特に、TJを構成するZO-1発現を上昇させるとともに、TJをルーズにする方向に働くミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の発現を低下させた。この作用は、乳酸菌をリパーゼ処理すると失われることから、活性には脂質関連の物質が関わっていることが示唆された。そこで、細胞壁構成成分であるリポテイコ酸(LTA)に着目した。E.hirae由来のLTAをアッセイしたところ、菌体同様、IL-8産生とMLCK発現の抑制、およびZO-1発現上昇効果が見られた。LTAの代わりに、Toll-like receptor 2(TLR2)に対する合成リガンドを用いても、同様であった。従って、乳酸菌の腸管バリア保護効果の少なくとも一部は、LTAなどの菌細胞壁成分が、腸管上皮に発現するTLR2を介して認識されることによってもたらされることが明らかとなった。得られた知見をもとに、今後、乳酸菌と食物抗原を混合したワクチンの作成を試みる。
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