研究概要 |
本年度に得られた研究結果は以下のように要約される。 1)アクアビルナウイルス(ABV)の投与法 浸漬法,経口法および注射法によりABVをマハタ稚魚に投与し,経時的にウイルス感染価(腎臓および脳)を測定した。その結果,注射法(10^7TCID_<50>/fish)でのみ,接種3,7および14日後に10^<3.7-4.>TCID_<50>/gのウイルスが検出され,21および28日には検出限界以下となった。 2)ABVとワクチンの同時接種による感染防御効果 ABVおよび不活化ベータノダウイルスワクチンをマハタ稚魚に接種(注射)し,3,7,14,21および28日後にベータノダウイルス(RGNNV)による注射攻撃をおこない,ウイルス性神経壊死症に対する感染防御効果を調べた。実験区として,(1)ABV単独区,(2)不活化ワクチン単独区,(3)ABVと不活化ワクチン混合区,および(4)対照区の4区を設定した。べータノダウイルスに対する中和抗体を測定した結果,(2)区および(3)区で,接種14,21および28日後にほぼ同程度の抗体価が得られた。即ち,1:100(14日),1:500(21日)および1:900(28日)であった。攻撃試験の結果、(1)区は接種3,7,14および21日後の攻撃に対して,(2)区では接種21および28日の攻撃に対してそれぞれ防御反応を示し、(3)区では3〜28日のいずれの攻撃に対しても強い防御反応を示した(RPS=60以上)。以上の結果から、ABVと不活化ワクチンを同時に接種することにより,ABVによる速やかな非特異的防御とワクチンによる長期間におよぶ特異的防御が賦与されることが明らかとなった。本剤(ABV添加不活化ワクチン)はウイルス性神経壊死症に対する優れたワクチン製剤となるであろう。
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