研究課題/領域番号 |
18658087
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業土木学・農村計画学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
梶原 晶彦 山形大学, 豊学部, 助教 (60291283)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | ため池 / 富栄養化 / 渡り鳥 / 窒素 / 浄化能 / 数値シミュレーション / 浄化 / スイレン |
研究概要 |
本研究では、平成18年度に引き続き、渡り鳥の飛来数増加による農業用ため池の水質汚染の現状把握および浄化策の確立を目的とし、山形県鶴岡市の大山下池を対象地として水質通年調査の実施、水生植物の水質浄化能の定量化および数値シミュレーションによる浄化効果の定量的検討を行った。水質調査項目には栄養塩類に加えて生物指標として動物プランクトンを観測し、水圏生態系への影響について検討した。 水質通年調査では、前年同様、渡り鳥の飛来する10月以降で溜池内の栄養塩類濃度が急激に上昇した。水質の変化に伴い動物プランクトンの種・属、生息数が大きく変化したことから、水圏生態系にも影響を与えていることが明らかとなった。また、糞尿の堆積による水質への悪影響は翌春まで続くことが観測された。水生植物による浄化試験はスイレンを用いて室内、現地で行った。室内実験では、前年度の実験で比較的浄化効果の大きかった底土質を用いて実験を行った結果、全窒素浄化速度は0.31〜0.48g/m^2/dayとなった。これは浄化能が大きいとされているハス類とほぼ同程度の浄化能である。現地実験では、自治体(鶴岡市)、地域住民との協働作業で溜池内の一部にスイレンを植栽した。しかし水深が大きい(約2.0〜3.0m)地点では花葉が水面まで達せず、伐採による系外への持ち出しは実施できなかった。 数値シミュレーションでは、水平・鉛直2次元モデルをベースに「非灌漑期水位低下試験」「植生による浄化試験」を組み込み、対策効果の検討を行った。その結果、冬季に水位を従来管理より2m低下させる(貯水量を約30%にする)ことにより、栄養塩類と有機物の濃度は一時的に20%程度上昇するが、全体量はそれぞれ60〜70%削減できることが予測された。また、植生を20%増加させることにより、栄養塩類濃度は30%減少するという結果が得られた。
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