研究課題/領域番号 |
18658106
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
束村 博子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00212051)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | メタスチン / GPR54 / キスペプチン / 黄体整形性ホルモン(LH) / エストロジェン / フィードバック / 前腹側室周囲核(AVPV) / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH) / 脳の性分化 / ポジティブフィードバック |
研究概要 |
成熟したメスラットにおいて、卵胞の成熟に伴いエストロジェン分泌が上昇すると、そのポジティブフィードバックにより視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)の大量分泌(LHサージ)が誘起され、排卵に至る。一方オスラットでは、メスとは異なり、外因性に高濃度のエストロジェンを投与しても、LHサージが引き起こされることはない。このようなポジティブフィードバックの有無の性差は、成熟後における性ステロイド環境に影響されないことから、胎児期から新生時期にかけて、性ステロイドにより脳が不可逆にプログラミングされることによって形成されるとの仮説をたて、これに基づき、以下の実験を行った。 ラットを用い、成熟後の雌ラットでは、強いGnRH/LH放出能を持つメタスチンニューロンの細胞体が前腹側室周囲核(AVPV)に多数存在すること、およびAVPVにおけるメタスチンニューロンの発現はエストロジェンにより促進されることを明らかにした。一方オスではこの部位にペプチド免疫陽性が、エストロジェンの有無にかかわらず、殆ど存在しないことを明らかにした。さらに、生後24時間以内に精巣除去した雄ラットにおいて、成熟後のエストロジェン処理によりAVPVのメタスチンの発現およびLHサージ誘起が認められたこと、および出生直後の雌ラットにエストロジェン処理するとAVPVメタスチンニューロンおよびLHサージが消失することを明らかにした。これらの結果により、新生時期にかけて分泌される精巣由来のアンドロジェンが、エストロジェンに芳香化されて不可逆的作用し、AVPVメタスチンニューロンを不可逆的に消失させることを示唆し、雌雄の遺伝的バックグラウンドの違いによらず、この時期のエストロジェンが、特定のニューロンに対し不可逆な脳のプログラミングを引き起こすことを強く示唆した。
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