研究課題/領域番号 |
18658113
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 真杉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90145673)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 発生・分化 / 妊娠 / プロゲステロン / 20α-水酸化ステロイド脱水素酵素 |
研究概要 |
ラットやマウスなどの齧歯類では、排卵後に形成された黄体がプロゲステロン分泌能を獲得するにあたり、プロゲステロンを20α-ジヒドロプロゲステロン(20α-OHP)へと代謝する酵素である20α-水酸化ステロイド脱水素酵素(20α-HSD)の発現の低下が大きく貢献している。一方、20α-HSDは齧歯類のみならず多くの哺乳類において、卵巣以外にも胎盤や妊娠期の子宮、さらには胎仔の一部の組織でも発現が見られるが、その生理的役割については明らかにされていない。本研究では20α-HSD遺伝子欠損マウス(KO)を用いて、子宮や胎盤で発現している20α-HSDの新たな機能を実証することを目的とした。まず、ヘテロ(HZ)の個体を交配して遺伝子型ごとの胎仔数を調べた結果、妊娠13日では野生型(WT):HZ:KOはメンデルの法則による期待値と差はなかったが、妊娠15、18日ではHZとKOの胎仔数が有意に減少していた。次に、WTの受精卵をWTとKOマウスに移植し、母体内の胎児数を妊娠17日目で確認したところ、KOの胎仔数は有意に減少していた。また、20α-HSDのmRNAの胎児、子宮、胎盤と卵巣での発現を確認したところ、妊娠13日には既に検出され、それ以降18日まで発現が上昇していた。さらに、妊娠17日目の胎仔では、KOはWTに比べてプロゲステロン濃度が高く、20α-OHP濃度は低くなっていた。以上の研究により、母体の20α-HSDは妊娠の成立やその初期の維持に、胎仔の20α-HSDは妊娠の中期から後期の生存に必要であることが示唆された。黄体における20α-HSDの役割は齧歯類特有のものであるが、妊娠の維持における20α-HSDの役割は哺乳類一般に共通するものであると考えられる。
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