研究概要 |
本研究の目的は、新規の無培養脂肪細胞機能解析法を確立することで、正常脂肪細胞の機能解析を行うとともに、脂肪細胞と血管平滑筋や血管内皮細胞のクロストークを解析することである。 予備的な検討により、現在までに以下のことを明らかにした。現在、脂肪細胞に対する生理活性物質の作用を検討中であり、結果がまとまり次第、論文として報告する予定である。 (1)薄膜ゲル中で脂肪細胞は、短時間生存可能であり、薬物作用を十分検討できることが明らかになった。 (2)界面活性剤などを使用しなくとも、蛍光色素の負荷が十分可能であることが判明した。 さらに脂質メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸(S1P)やリゾホスファチジルコリン(LPC)、アダンダミドの作用について検討し以下の結果を得た。 (1)S1Pは、TRPC5型カチオンチャネルを細胞内から活性化する新規の生理活性物質であり、平滑筋の運動制御に関わることを明らかにした(S.Z.Xu, K.Muraki, et al.,Cir.Res. 98:1381-1389,2006)。現在脂肪細胞に対するS1Pの効果について検討中である。 (2)LPCもTRPC5型カチオンチャネル活性化物質として機能することを初めて明らかにした(P.Flemming, et al.,J.Biol.Chem. 281,4977-4982,2006)。 (3)カンナビノイド受容体の生体内アゴニストであるアナンダミドが大コンダクタンスカルシウム活性化Kチャネルを受容体非依存的に活性化することを明らかにした(H.Sade, K.Muraki, et al.,Am.J.Physiol.Cell Physiol 290,C77-C86,2006)。
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