研究課題/領域番号 |
18659094
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
松本 直通 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (80325638)
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研究期間 (年度) |
2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | ソトス症候群 / エピジェネシス / 成長障害 / 脳・神経 |
研究概要 |
本研究の目的は、NSD1異常を示しSotos症候群の診断が確定している症例(NSD1を含む染色体微細欠失あるいはNSD1点変異症例)における11p15領域のインプリンティング異常の有無を確認することである。Sotos症候群の責任遺伝子異常が惹起する病態(過成長および精神発達遅滞)はこれまでにほとんど明らかにされていない。インプリンティングの異常が同定された場合、病態解明へ大きく進展することが可能である。臨床的にSotos症候群と診断され、NSD1を含む5q35領域の微細欠失症例及びNSD1点変異例において11p15におけるインプリンティング領域の解析を行った。11p15領域には少なくとも2つのインプリングコントロール領域(DMR1・DMR2)が存在し、それぞれが非インプリンティング領域に隔てられた2つのドメイン内に存在する。ドメイン1には父性発現を示すIGF2と母性発現を示すH19が存在し、DMR1がインシュレーターとして作用しインプリンティング調節を司る。母方アリルに於いて非メチル化DMR1にCTCF蛋白が結合し下流のエンハンサーの作用がGF2プロモータに作用することをブロックしH19が発現する。父方アリルに於いてはDMR1はメチル化しCTCFが結合しないため下流エンハンサー作用がIGF2プロモーターへ及びIGF2か発現する。ドメイン2においては、KCNQ1のイントロン10にDMR2が存在し、母方アリルのDMR2のメティル化によりKCNQ10T1の発現が抑制され、代わりにKCNQ1やCDKN1Cなどが発現する。父性発現のKCNQ10T1がアンチセンス転写産物としてcisにドメイン2の複数の遺伝子発現を抑制している可能性がある。以上から、DMR1とDMR2のメチル化状態を観察することで11p15のインプリンティング調節の状態が判明する。疾患ゲノムDNAのBisulfite処理・DMR1およびDMR2領域の増幅・クローニングとシーケンシング・メティル化の確認作業を得てエピジェネティックな変化を観察した。NSD1異常が証明されたSotos症候群患者群と正常対照群でDMR1及びDMR2領域ともにゲノムメティル化の明らかな差は認めていない。しかし一部の症例におけるメティル化異常の可能性が示唆され現在検証が進行中である。
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