研究課題
萌芽研究
以前に申請者らは、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)アクセサリー蛋白質VprがImpαのみを介して核移行する新規核移行機序を有することを発見した。さらに、Vprと核輸送担体importinαとの結合がマクロファージへのHIV-1感染に必須であるということを世界に先駆けてみいだした。そこで、Vprとimportinαとの結合を阻害する低分子化合物を開発し、新たなる抗HIV-1薬の創製を目指した。まず、大量精製したGSTとHis tag融合VprおよびImpαを用いて、VprとImpαとの結合を正確、簡便および高感度に検出するためのELISA binding法を構築した。このELISA法を用いて、2000化合物からスクリーニングして、VprとImpαの結合を阻害する低分子化合物49種を選択した。その内11種の化合物が、GST pull down法においてVprとImpαの結合を、2種類がin vitro核移行解析においてVprの核移行を阻害した。また、同定された化合物は細胞内で主に作動しているclassicalなNLSの核移行に効果を及ぼさなかったと同時に、ミトコンドリアの活性を指標とするMTT法により、細胞傷害性が低いことが明らかとなった。興味深い事に、解析した1種類がマクロファージにおけるウイルス感染を阻害した。この化合物が、VprとImpαのどちらに結合するかをBlue NATIVE PAGEを用いて解析した結果、化合物はVprに結合しスメア状にシフトしていることが確認された。現在、大規模スクリーニングと化合物の最適化のためにVprとImpα複合体のX線結晶構造解析を進めている。一方、HIV-1感染の初期過程を可視化するために、的かつ蛍光バイオイメVpr蛍光蛋白質融合Vprを用いた蛍光バイオイメージング技術を確立した。
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J. Virol. (印刷中)
Microbes Infect. (印刷中)
Microbes Infect. 8
ページ: 670-679