研究課題/領域番号 |
18659215
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
菅野 健太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (60179116)
|
研究分担者 |
山本 博徳 自治医科大学, 医学部, 教授 (10311937)
大澤 博之 自治医科大学, 医学部, 講師 (70260833)
平井 義一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00127581)
太田 英孝 自治医科大学, 医学部, 研究員 (60424016)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 小腸細菌叢 / 通性菌 / 嫌気性菌 / Helicobacter pylori / 小腸ダブルバルーン内視鏡検査 / 小腸 / 細菌叢 / 嫌気培養 |
研究概要 |
本研究はこれまで実態が不明であったヒト小腸細菌叢を、当教室で開発された小腸ダブルバルーン(DBE)内視鏡検査下の粘液検体採取により明らかにする目的で行われた。ヒト検体採取にあたっては自治医科大学研究倫理委員会の認可を得、被検者からのインフォームドコンセント取得のもとに行われた。検体の採取、特に偏性嫌気性菌の採取、培養には細心の注意が必要であり、通常の採取カテーテルはすべて窒素置換を行った。菌の培養は、好気性培養条件で5種類の培地(4選択培地を含む)、嫌気性培養条件で9種類の培地(8選択培地を含む)、及び微好気培養条件で1種類の合計15培地で行った。検体採取は胃、十二指腸、空腸、回腸、および直腸から行ったが、空腸までの検体採取はDBE検査の際、経口的アプローチによる場合が多く、回腸の検体採取は経肛門的アプローチによる場合が多かった。全体の検体数は38であった。(1)胃、十二指腸における細菌数は極めて少ないが、Helicobacterpylori(HP)感染がある場合には胃液pHが高い場合があり胃、十二指腸での細菌数が多い例が見られた。(2)消化管の総菌数は、空腸から回腸に移行するに従って増加し、回腸では1mlあたり10^8から10^9の菌が培養された。これは直腸の菌数(腸洗浄後)とほぼ同数であり、また細菌叢構成もほぼ大腸のものと類似していた。(3)十二指腸、空腸上部では胆汁酸耐性のグラム陰性菌が主体となるが、グラム陽性菌では例外的にLactobacillus属菌が見られた。(4)空腸近位部までは、偏性嫌気性菌はあまり存在せず、酸素に比較的抵抗性のあるVeillonella属菌が主体であるが、空腸遠位部から回腸にかけて偏性嫌気性菌が多く培養されてくる。これは管腔内のガス環境を反映しているものと考えられる。偏性嫌気性菌としてはFusobacterium属、Megasphera属などの菌が優勢な菌として培養された。(5)経口的アプローチ、経肛門的アプローチによって採取される菌数や細菌叢構成の違いが懸念されたが、採取法の違いによる大きな差異は認められなかった。(6)小腸の細菌叢に大きな影響をあたえると考えられる病的疾患は今回の検討には含まれていないが、同一人を2回検査した際の再現性も良好であった。以上の結果から、ヒト小腸細菌叢を検討するための基礎的手技、手法が確立されたと考えられる。今回の検討から胃のHP感染が近位小腸の細菌数や細菌叢に影響を及ぼしている可能性があることが示唆され、現在さらに胃内pHや萎縮、あるいは除菌との十二指腸、小腸細菌叢の関連性を検討している。また、今回の知見をもとに、小腸の吻合消化管におけるBacterial Overgrowthの病態解明を試みていく予定である。
|