研究課題
萌芽研究
本研究では、COPDにおけるグレリンの病態生理学的意義について、基礎と臨床の両面から研究を進め、以下の成果を得た。臨床的研究では、COPDに対するグレリンの効果を評価するために二重盲検比較試験を開始した。体重減少をきたしたCOPD患者を対象に、エルゴメーターを用いた下肢リハビリテーションに加えて、2μg/kgのグレリンを一日2回3週間経静脈的に投与し、運動耐容能の改善を評価した。本試験はRCTで、現在7例を集積し、進行中である。さらに、症例を追加することでエビデンスの確立が期待できる。この臨床研究では、DEXAを用いて体組成の変化を検討し、血液検査で栄養状態の改善を評価する予定である。また、血中カテコラミンや呼気ガスや尿中の8-イソプロスタンを測定して、グレリンが酸化ストレスや交感神経に与える影響を解析している。基礎的研究では気道上皮細胞や単球由来細胞、好中球のグレリン受容体の発現とグレリンの抗炎症効果を検討した。培養単球由来細胞ではサイトカインの産生を抑制する効果がみられ、グレリンの抗炎症作用が確認された。動物実験モデルとして、グレリンと受容体欠損マウスやPTENノックアウトモデルマウスを対象に、慢性喫煙曝露とエラスターゼ併用によるCOPDモデルを現在作成中で、解析準備を進めている。以上のように研究計画は確実に進捗しており、生理活性ペプチドという観点からみたCOPDの病態解明と臨床展開はこれまでには全く無かった手法で、今後の研究で、難治性の病態であるCOPDに対する新規治療としてのグレリンの可能性が解明される。さらに、本年度の成果は、COPDだけでなく他の呼吸器疾患におけるグレリン研究の基盤になることが予想される。詳細な解析を進めて、呼吸器疾患におけるグレリンの病態生理学的意義の解明や臨床応用に向けた研究を推進したい。
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