研究課題/領域番号 |
18659248
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井口 清太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20420309)
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研究分担者 |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (20272817)
山本 格 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30092737)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ADAMTS-8 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜関連分子 / Transgenic rat / 巣状糸球体硬化 / プロテオーム解析 / Proteinuria / Puromycin aminonucleoside / Proteome |
研究概要 |
私たちは、平成18年度において、ペプチドファージディスプレイを用いて腎糸球体スリット膜関連分子(nephrinおよびNEPH1の細胞外ドメイン)に相互作用する分子群を同定し、新規メタロプロテアーゼ分子:ADAMTS-8が腎糸球体上皮細胞に特異的に発現していることを明らかにした。また、ADAMTS-8の糸球体上皮細胞における機能を明らかにするために、糸球体上皮細胞にADAMTS-8が特異的に過剰発現するTransgenic(Tg)ラットを作成した。 平成19年度では、このTgモデルをさらに詳細に解析した。ADAMTS-8が糸球体上皮細胞で高発現する系統では、生後半年以降に徐々に蛋白尿が出現し、一年後にはネフローゼレベルに達した。このTgラットの腎病変を組織学的に検討すると、光顕で巣状糸球体硬化病変が認められ、電顕では病変に伴って上皮細胞の足突起の消失が著しく認められた。 ADAMTS-8の過剰発現が蛋白尿を惹起するメカニズムを明らかにするために、わたしたちはTgラットの糸球体を高純度に精製し、二次元電気泳動を用いたプロテオーム解析を行った。ラット尾静脈からマグネットビーズを含むPBSで灌流し、ふるい法で糸球体を単離した後に、マグネットでビーズが混入した糸球体のみを精製した。この操作を数回繰り返すことにより約99%の純度の単離糸球体が得られた。Tgラットおよびnon-Tgラット(それぞれ2匹ずつ、3セット)の単離糸球体を尿素可溶化緩衝液で溶解し、二次元電気泳動を行った。TgラットとNon-Tgラットの泳動像を画像ソフトウェアで解析し、濃度に違いが認められたスポット(11個)を質量分析で同定した。その結果、糸球体上皮細胞にNon-Tgラットでは強く発現しているが、Tgラットで発現が減少している分子として、sodium/hydrogen exchanger regulatory factor-2(NHERF-2)が明らかになった。NHERF-2は糸球体上皮細胞内でアクチン骨格と結合するアダプター蛋白であり、その相互作用の変化は糸球体上皮細胞の形態変化につながる。ADAMTS-8の過剰発現によるNHERF-2の発現低下のメカニズムについて今後詳細な解析が必要である。
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