研究概要 |
1)スフィンゴミエリン欠失細胞株細胞株におけるFas誘導apoptosisの解析: スフィンゴミエリン欠質細胞およびコントロール細胞を抗Fas抗体(CH11)で刺激し,apoptosisをsub G1法でFACSで解析し,両細胞におけるapoptosisの差異を明らかにした.Fas架橋刺激による,DISC形成の検出,Caspase活性の測定,ミトコンドリア膜電位の測定を行なった. 2)細胞膜lipid raftのconfocal microscopyによる解析: スフィンゴミエリン欠失細胞株におけるlipid raftの形態および機能を明らかにした.細胞膜でのスフィンゴミエリンの局在を明らかにするために,スフィンゴミエリンに特異的に結合するMBP結合1yseninとPE標識抗MBP抗体を用いて染色した.Fas架橋刺激によるCluster形成をFITC-,PE-標識Fas抗体で検出し,ラフト構成におけるganglioside GM1とスフィンゴミエリンおよびFasの動態を明らかにした.スフィンゴミエリン欠失細胞株では,Fasの凝集が抑制されていた. 3)Fas誘導シグナルの差異の検討: Fas架橋刺激に伴う,FADD,Caspase-8とFasとの結合をwestern blottingおよび免疫沈降法を用いて検討した.リピッドラフトをsucrose gradient法により分画し,ganglioside GM1量とスフィンゴミエリン量を比較検討した.Fas刺激に伴うFADDやCaspaseなどのシグナル伝達物質のlipidraftへの移行を検討した.スフィンゴミエリン欠失細胞では,Fas刺激によるcaspase-8,caspase-3活性が抑制されていた.また,Fasに会合するFADD,Caspase-8量も低下していた.その結果Fasによるアポトーシスがスフィンゴミエリン欠失細胞では障害されていることが明らかになった.
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