研究分担者 |
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20134364)
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20208523)
坂本 明美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (90359597)
藤村 理紗 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教 (30376363)
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研究概要 |
Th2サイトカイン遺伝子の発現調節領域の機能を解析してTh2細胞のサイトカイン産生の維持機構を単に転写調節だけではなく,クロマチンリモデリングを含めた包括的分子機構を明らかにする。以上の解析結果をもとに気管支喘息におけるメモリーTh2細胞の維持機構を解明する。 1.IL4BS-KOマウスの作製 ヒトとマウスでIL-4遺伝子の第2イントロンに転写抑制因子であるBCL6と転写促進因子であるSTATSが競合的に結合する塩基配列およびTh2サイトカインの産生に重要な転写活性化因子であるGAIA3の結合塩基配列が近接して存在する領域(IL4B6BS)を見出している。生体内におけるIL4B6BSの機能を明らかにするために,IL4BS-KOマウスを作製し,解析した。その結果,IL4BS-KO由来のTh2細胞のIL-4産生が著しく低下することを認めた。以上より,IL4B6BSはIL-4産生に極めて重要な調節領域であることを明らかにした。 2.気管支喘息モデルにおけるTh2細胞に対するBCL6の機能 BCL6-ノックアウト(Ko),BCL6-トランスジェニック(Tg)および野生型マウス由来のTh2細胞をそれぞれ野生型マウスに経静脈的に移植し,OVAの吸入曝露後のアレルギー性気道炎症について気管支肺胞洗浄(BAL)およびフローサイトメトリー法にて解析した。野生型Th2細胞を移植したマウスと比べて,BCL6-Ko由来Th2細胞を移植したマウスではOVA吸入24時間後より気道内好酸球浸潤とBAL液中のIL-4やIL-5が増加し,BCL6-Tgで減少した。また,野生型Th2細胞と比べて,Ko由来Th2細胞は肺組織やBAL液中への集積が増強し,Tg由来Th2細胞では減弱していた。以上の解析より,Th細胞におけるBCL6はTh2サイトカインの産生を抑制し,喘息性炎症局所へのTh2細胞の集積を減少させることで,アレルギー性気道炎症を抑制的に制御することを明らかにした。
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