研究課題/領域番号 |
18659299
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
峯岸 克行 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (10343154)
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研究分担者 |
烏山 一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60195013)
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研究期間 (年度) |
2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 免疫 / 感染症 / 原発性免疫不全症 / サイトカイン / シグナル伝達 / チロシンキナーゼ / Tyk2 |
研究概要 |
高IgE症候群は、難治性の湿疹と血清IgEの高値に細菌・ウイルスに対する易感染性を合併する疾患である。その原因遺伝子が、アレルギーの発症に関与する可能性も考えられるため、原因遺伝子を同定する多くの試みがなされてきたが、これまで1つもその原因遺伝子は同定されていなかった。 1.高IgE症候群におけるTyk2欠損の発見 最近我々は、常染色体劣性の遺伝形式をとる高IgE症候群に、細胞内寄生細菌に対する易感染性を合併する症例を発見した。この症例では、PMAとIonomycinの刺激では、ほぼ正常レベルのIFNγの産生が見られるのに対して、IL-12とIL-18の刺激ではIFNγの産生が全く見られず、さらにIL-12によるSTAT4のチロシンリン酸化が障害されていた。IL-12のシグナル伝達経路上に存在するTyk2の塩基配列の検討を行ない、コーディング領域に4ベースの欠失があることを見出した。この遺伝子異常により、Tyk2はコドン91がストップコドンとなり、Tyk2タンパクは発現していなかった。本患者の両親は、血族結婚で、父親、母親の両方のcDNAとgDNAの両方に4ベースの遺伝子欠失が、ヘテロで認められたが、両親のIgE値、免疫能は正常であった。 2.ヒトのTyk2は、Th1分化の促進とTh2分化の抑制に必要である Tyk2を欠損する患者の末梢血T細胞のTh1細胞、Th2細胞への分化能を検討した。Th1細胞へ分化が著しく阻害され、逆にTh2細胞への分化が亢進していることが明らかとなった。 3.Tyk2の遺伝子導入により、IL-12のシグナル伝達が回復する 本症例においてTyk2の異常が疾患の原因であることを証明するために、正常Tyk2のcDNAをレトロウイルスベクターで、Tyk2欠損症のT細胞に導入した。Tyk2を導入した患者T細胞はIL-12とIL-18の刺激により、正常にIFNγを産生するようになった。そのため、本症例の免疫異常の原因は、Tyk2分子の欠損であると考えられた。
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