研究課題
萌芽研究
我々の研究室では、アルツハイマー病の画期的な治療法の開発を行っているが、Aβの離散をはじめてゲルろ過により可視化した(Sato N. et a1. Neurobiol Dis 2006)。1999年にAβワクチン療法により、老人斑が消失することを示された。我々は、試験管内において、凝集Aβと可溶性Aβが平衡状態にあることに気付き、凝集Aβを遠心して上清の可溶画分を順次、PBSに置き換え、そこに溶出してくるAβをゲルろ過にかけることにより、Aβの離散を可視化した。Aβ40はモノマーとして、Aβ42はモノマーおよびダイマー・トリマーとして凝集Aβから離散することがわかった。さらにAβ42はAβ40に比し、凝集体より離散しにくいことが判明した。さらに、この系を用いてAβ離散を促進する低分子をスクリーニング可能であることが判明した。クルクミンはAβの凝集を抑制、Aβの離散を促進し、アルツハイマー病APPトランスジェニック・マウスにおいて治療効果があることが認められている。クルクミンがAβ sink assayにおいても離散を促進することが判明した。以上のことから、このアッセイ系はアルツハイマー病の画期的な治療法の開発に有効であることを示した。さらに、我々はAβの脳室内投与モデルを用いて、行動評価とともにAβの蓄積を評価可能であることを確認した。このAβの脳室内投与モデルに対してin vitro Aβ sink assayでpositiveであった各種治療法を検討した。その中でクルクミンは本モデルにおいても、行動実験およびAβの蓄積において治療効果を認めた。以上のことから、Aβ sink assayおよびAβの脳室内投与モデルをスクリーニングの系として、アルツハイマー病の画期的治療法の開発が可能であることを実証した。
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