研究概要 |
帝京大学ちば総合医療センター放射線部既設の1.5TeslaのMRI装置にて、脳拡散テンソル画像撮像を施行した。また、平成18年度に導入した拡散テンソル解析用ソフトウェア(Advantage Windows Functool 2)を使用した。前年度に最適化を行った拡散検出傾斜磁場方向の軸数を15に設定して、大脳白質の描出や拡散係数値、拡散の生理的な偏りつまり異方性(anisotropy)を表す指標であるFA(fractional anisotropy)値を測定した。また、視放線を中心とした主要な白質神経線維路を描出(tractography)した正常人20名を対象として、脳拡散テンソル画像撮像を施行し、拡散テンソル解析用ソフトウェアを用いて、FA値・tractographyを中心としたデータ収集・解析を行った。具体的には、得られた画像を上記解析用ソフトウェア上に展開,関心領域を設定することによって、FA値を計測した。計測は同一人物が3回行い,平均値を代表とした。年齢による分散はみられたが,FA値は既知の値に近いものが得られ,当研究施設における標準値とした。現在,年齢を一致させた正常眼圧緑内障についても同様の解析を進めているが、症例数が10例に満たず、データ収集に鋭意努力しているところである。また、視力の評価,眼圧測定,視力以外の神経症状や,既往歴,家族癧についての検索,記録も施行している。限られたデータ量ではあるが、正常例と比較して正常眼圧緑内障においては、視放線を中心とした白質神経線維路におけるFA値が低下する傾向がみられている。今後データの収集が終了次第、臨床症状との関連についての統計解析を行い、成果を発表する予定である。
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