研究概要 |
低周波磁場による心筋再生促進の研究を行い,培養心筋細胞への低周波磁場曝露が,心筋細胞の機能向上を可能にするかを検討した. Wister系新生児ラット(生後2-3日目)の心臓を摘出し,ハサミで細片化した.0.1%Collagenase溶液中で1時間振培養して,心筋細胞を分散させた.細胞浮遊液をメッシュに通し,未分解組織を取り除いた後,培地DMEMを加えて約1時間培養し,線維芽細胞などの付着性細胞を取り除いた.細胞浮遊液を抽出回収し,心筋細胞のみを取り出し,心筋細胞数を調製した(5.0×105[cells/ml]).20日間培養した. ヘルムホルツコイル,信号発生器,増幅器からなる磁場曝露装置を製作した.ヘルムホルツコイルを培養器内に設置し,その中心部に培養皿を置き,心筋細胞に一様な磁場(1.5mT,50Hz正弦波)を曝露した.対照群は,別の培養器において培養した. 1. 磁場曝露による培養心筋細胞の拍動能,増殖能:拍動数は顕微鏡下で目視により計数し,細胞数はMTT法により測定した.磁場曝露により高い拍動数,細胞数増加が確認された. 2. 磁場効果の時間依存性:1日あたりの磁場曝露時間を1h,2h,4h,8h,24hとした複数群を用意し,培養1,3,5,7,10,15,20日目の細胞数,拍動数の経時変化を測定した.2時間磁場曝露した際に,他の曝露時間に比べ細胞数の増加が確認された.一方,拍動数は磁場曝露時間の違いによる差は見られなかった. 3. 誘導電流作用の検討:同心円環状に区切った培養皿を製作し,区分ごとに同じ磁束密度に曝露されるが,異なる誘導電流が流れるようにした.磁場曝露により高い拍動数は示したが,誘導電流による差は見られなかった.誘導電流が大きくなると磁場曝露群の細胞数が対照群に比べ増加したが,ある値を境に増加率は減少した.
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