研究課題/領域番号 |
18659429
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90209916)
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研究分担者 |
野々口 直助 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70388263)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | エリスロポイエチン / アシアロエリスロポイエチン / 脱シアル化 / 脳梗塞 / 脳卒中 / FGF-2 / 線維芽細胞成長因子 / 遺伝子治療 / 神経原生 / 骨髄細胞 |
研究概要 |
エリスロポイエチン(以下EPO)は古典的な造血ホルモンとしての作用以外に、apoptosis抑制、組織幹細胞の増殖促進、血管新生促進、炎症反応抑制などの生理作用を介して虚血環境下の組織障害を軽減し得ることが近年の研究から示唆されている。但しEPO投与による骨髄造血の促進はヘマトクリットの上昇をもたらし、虚血臓器における血栓性合併症をむしろ助長してしまう可能性もある。 糖タンパク質であるEPOは、糖鎖に結合しているシアル基が外れると速やかに肝臓で代謝される。今回我々はEPOを脱シアル化したアシアロ・エリスロポイエチン(以下Asialo-EPO:生体内半減期は約3分)を用いてラット重症脳梗塞モデル(中大脳動脈閉塞)に対する治療実験を試みた。治療群としてEPO・Asialo-EPO・PBS投与の3群を設け、前2群は一回あたり5U/gを脳梗塞作成の当日・2日後・4日後の計3回にわたり経静脈的に投与した。脳梗塞から14日目の時点でEPO群およびAsialo-EPO群は、PBS投与群に比べ統計学的に有意な神経症状の改善を示し、かつこれらの症状改善効果は同等であった。これに対し、血中のヘモグロビン濃度およびヘマトクリット値はAsialo-EPO群とPBS群が同等であったのに対し、EPO群は他群と比べday2以降有意な上昇を示した。本研究結果は「短半減期エリスロポイエチン誘導体"Asialo-EPO"が脳主幹動脈閉塞を伴う重症脳梗塞に対し、全身性の造血活性を惹起することなくEPOと同等の治療効果を発揮する」という我々の研究仮説を支持しており、EPOに比べAsialo-EPOは虚血性脳卒中に対してより適した治療薬として応用できる可能性がある。 また組み換え型ヘルペウイルスによるFGF-2遺伝子治療を同モデルに行った結果、虚血分水界領域における神経細胞死の抑制効果と海馬領域での組織幹細胞分裂の促進効果が確認された。
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