研究概要 |
骨肉腫の肺転移の効果的な治療法を考案することは治療成績の向上につながる。NF-□Bデコイを骨肉腫に局所投与することにより肺転移を抑制出来る可能性を考え,in vivoおよびin vitroの実験を行った。 in vitro実験 マウス骨肉腫高肺転移株(LM8)をC3Hマウスに皮下移植したモデル(n=34)に腫瘍生着後,FITC標識デコイ(10μg)を腫瘍内注入し,経時的にデコイの局在を調べた。その結果,FITC標識デコイは,腫瘍被膜および腫瘍辺縁組織に導入され,投与後2週でも,腫瘍被膜に残存していた。しかし,腫瘍細胞への取り込みは,デコイ注入部位を除き,認められなかった。デコイ注入群とコントロール群の間に,体重,腫瘍体積に優位差は認められなかったが,デコイ注入群で肺転移の数が抑制され,動物の生存期間が延長した。 in vitro実験3次元アルジネート腫瘍細胞培養システムを確立し,このシステムを利用してデコイを導入させることを試みた。単層培養下に増殖させたLM8をトリプシン酵素分離した後,アルジネートビーズにて3次元培養をおこなった。本システムが生体の腫瘍により類似していること組織学的に確認された。3次元アルジネート培養下においては,FITC標識デコイは全細胞の核内に導入されることが確認された。さらに,NF-κBデコイによる細胞増殖能の抑制が確認された。アポトーシスもみられた。
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