研究課題
萌芽研究
Transforming growth factor-β(TGF-β)は発生・分化から癌・炎症性疾患の病態に至るまで、広範な作用を持つサイトカインである。また、TGF-βは骨・軟骨組織に多く存在し、軟骨細胞や骨芽細胞の分化を制御している。これまでにDNAマイクロアレイの活用により、骨・軟骨細胞分化におけるTGF-βの標的遺伝子の同定がおこなわれ、骨・軟骨細胞分化の鍵となる様々な遺伝子が明らかにされつつあるが、未だその全貌は明らかでない。一方で、最近miRNAなどの発見により、蛋白質をコードする転写産物を大きく上回るnon-coding RNAが存在し、シグナル伝達系において重要な機能を果たしていることが明らかとなってきた。従って、骨軟骨細胞分化においても、旧来のDNAアレイでは評価できなかったこれらの標的を含めて発現解析をおこなうことは、TGF-βの真の作用メカニズムを把握する上で欠かせない課題といえる。本研究では、ヒト全ゲノムタイリングアレイを用いた、ChIP-on-chip法によるTGF-β反応性転写領域の網羅的解析を行い、ヒト間葉系幹細胞のTGF-β刺激時の正常な転写プロファイルをヒト上皮細胞のそれと比較し、ヒト間葉系幹細胞の骨・軟骨細胞分化におけるTGF-βシグナルの下流のnon-coding RNAの役割を明らかにすることを目的に研究をおこなった。具体的には、ヒト全ゲノムタイリングアレイを用いた、TGF-βシグナル伝達分子Smad2/3のゲノム上の結合部位の同定に成功した。
すべて 2007 2006
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