研究概要 |
本研究の目的は,神経性RNA結合タンパク質の機能に着目し,吸入麻酔薬の機能を解析することであり,その概要は麻酔薬が発現に影響する神経性RNA結合タンパク質を同定して,それらに調節されるRNAを網羅的に解析することであった. 本研究では,吸入麻酔薬セボフルランの投与による代表的な神経性RNA結合タンパク質(Musashi,Hu,NOVA1,Drb1)のRNAレベルおよびタンパク質レベルで発現量の変化を成人マウスおよび仔胎ラットで確認した.成人マウスでHuタンパク質の発現量に軽度の変化を確認できた.RNAの発現量の変化の確認に難渋し,結果的に有意な変化を確認するまでには至らなかった. うまくいかなかった理由として脳組織以外の組織片や血液の混入が一因と考えた.そこで培養細胞を用いた実験系で成体のデータの再現を試みた.しかし当研究室では培養細胞に吸入麻酔薬を使用する実験システムがなく,まずそれらを構築に着手した.現在,それらの実験系を用いて,いままで得られた結果の再現性を確認している. 本研究は,吸入麻酔薬の作用機序の解明をいままでに着手されていない側面で行っている.萌芽的ではあるが,吸入麻酔薬の中枢性麻酔作用機序の解明のきっかけをうる研究である.残りの試薬等を用いて現在も実験を行っている.
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