研究課題/領域番号 |
18659515
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
嶋澤 雅光 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80381721)
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研究分担者 |
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20381717)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 緑内障 / 糖尿病網膜症 / 網膜神経節細胞 / βアミロイド |
研究概要 |
これまでにアルツハイマー病患者において、緑内障の発症頻度が高いことが報告されている。これらの知見から、網膜疾患とアルツハイマー病の間になんらかの因果関係があることが推測された。そこで今回我々は、網膜機能及び網膜細胞死とアミロイド-β(Aβ)の関係をヒト型Aβ前駆体蛋白質(APP)遺伝子導入(APP Tg)マウス及びAPPとプレセニリン-1(PS-1)の両遺伝子を導入した遺伝子改変(APP/PS-1 Tg)マウスを用いて検討した。 1.APP Tgマウス及びAPP/PS-1 Tgマウスに網膜障害を惹起し、Aβと網膜細胞死との関係を検討 (1)網膜電位図(ERG)および視覚誘発電位(VEP)測定により、APP/PS-1 Tgマウスにおいて暗順応下での光刺激後の電位波形の発現潜時の延長が認められた。さらに、APP/PS-1 Tgマウスにおいて網膜神経節細胞の機能を反映するとされる明順応下の陰性波(PhNR)の電位の有意な低下が認められた。 (2)N-methyl-D-aspartate(NMDA)硝子体内投与による網膜障害は野生型マウスと比較してAPP Tg及びAPP/PS-1 Tgマウスにおいて有意に軽度であった。 (3)APP/PS-1 Tgマウス網膜においてリン酸化カルシウム/カルモジュリン依存性蛋白リン酸化酵素IIα(p-CaMKIIα)の有意な低下が認められた。さらに、NMDA硝子体内投与によるp-CaMKIIαの亢進はAPP/PS-1 Tgマウス網膜において低下していた。 (4)APP/PS-1 Tgマウス網膜においてNMDA受容体のサブユニットであるNR2Bの発現低下が認められた。さらに、NR1タンパク質の網膜神経節細胞の細胞膜への局在が低下していた。 これらの結果より、Aβ蛋白質またはAPP分解産物は網膜機能を抑制し、その機序の一部にNMDA受容体シグナル経路の抑制が関与していることが示唆された。 2.培養網膜神経節細胞におけるAβによる細胞死の機序を検討 Aβの活性化ペプチドであるAβ25-35(5-20 μM)を添加することにより濃度及び時聞依存的に細胞死を惹起し、その細胞死に先行してAPPの過剰発現が観察された。Aβ刺激による細胞死に対するα-セクレターゼの活性を増加させるRho-associated coiled-coil forming kinase(ROCK)阻害剤のhydroxyfasudilの作用について検討したところ、明らかな作用は観察されなかった。 今後、網膜疾患におけるAβの関与並びにその作用機序が解明されることにより新たな治療法の開発に繋がることが期待される。
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