研究概要 |
(1)直径φ1.5×2mm以下の微細輸送機器の開発 初めに,直径φ1×3mmの二重構造型輸送機器を開発した.機器の更なる縮小化に限界を見,容易に縮小化できる一重構造型輸送機器を新規に提案し,そのデモ機器を開発した. (2)実験装置の開発 磁場解析を駆使してコイルおよび磁気回路を設計し,6軸制御ロボット先端にコイルユニットを取り付けた装置を開発した.コイルへの励磁電流と変動周波数は交流安定化電源により調整した. (3)微細輸送機器の挙動に及ぼす影響因子とその影響度に関する検討 一重型輸送機器にデモ塞栓物質を搭載したものを透明なプラスチックチューブ内に挿入し,磁極先端形状,コイルへの励磁電流とその変動周波数を変化させ,輸送機器がコイルに磁力誘導される条件を明らかにし,チューブの塞栓を成功させた. (4)微細輸送機器の血管栓塞効果に関する動物実験 微細輸送機器をウサギに挿入する前段階として,塞栓物質とその投与量を検討した.ウサギを全身麻酔後に,正中切開により左腎臓を術野に誘導し,腎動脈の結紮または栓塞物質の注入を行った.栓塞物質として,今回はヒストアクリル・リピオドール混合剤(NBCA),エタノール・リピオドール混合剤(EEM),およびキトサンの3種類(0.5-1.0mL)を供試した.術後14日間に亘り,ウサギの一般状態,超音波断層診断装置による腎臓の大きさ変化,および血中成分の分析を行い,14日目にウサギを安楽殺して,腎臓の形態学および組織学的観察を行った.一般状態に著変は無かったが,術後急死がNBCA区で1例認められた.EEM区で結紮区と同様な縮小が認められ,尿素窒素値がキトサン区で有意に上昇した.形態学および組織学的観察では,NBCA区とEEM区で結紮区と同様な萎縮および組織壊死像が観察された.以上より,EEMが高い臓器萎縮誘導効果と安全性を兼ね備えていることが明らかとなった. (5)研究成果のまとめおよび学会発表 研究成果の一部をまとめ,2007年度精密工学会春季大会学術講演会にて発表した.
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