研究課題/領域番号 |
18659536
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高野 吉郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90126425)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 反応拡散系 / 自己組織化 / エナメル芽細胞 / エナメル質成熟期 / ギャップ結合 / ビンブラスチン / GBHA / 動的パターン発現 / 形態形成 / GBHA反応 / 空間パターン形成 |
研究概要 |
計画初年度の「ミニ浸透圧ポンプによるGap Junction Blockerの局所投与実験」では、下顎切歯エナメル質成熟部への塩酸チオリダジン(10mM)持続投与によって、エナメル芽細胞の形態変化周期の遅延を示唆する結果が得られたと報告した。今回、生後6週齢の雄性Wistarラット40匹を用いて、異なる濃度の2種類のギャップ結合阻害薬がエナメル芽細胞の形態変化の周期とパターンに与える影響を改めて検討したところ、薬剤投与群と無処置コントロール群間に有意な差を認めることはできなかった。多数歯を観察してみると、切歯エナメル質上のSAの縞状パターンは左右対象ではあるものの、正常でも左右で前後方向にずれていることが多く、初年度の所見は特に薬剤の影響とはいえないと判断された。 微小管阻害剤であるビンブラスチンをラットに投与すると、8〜12時間でエナメル芽細胞の波状縁が消失し、成熟期エナメル芽細胞がすべてSA様を呈することが知られている。今回、6週齢ラット60匹を用いてビンブラスチンがラット成熟期エナメル芽細胞に与える変化をエナメル質のGBHA染色法によって長期観察したところ、投与後24〜48時間以降、成熟期エナメル質上に左右非対処の動的な渦巻き模様が出現し、経時的にその形態と位置を変化させることが確認された。渦巻き模様は注射後一週間を経ても持続しており本来の左右対称の線状構造に復帰することはなかった。更にラット20匹を対象に歯科用バーでエナメル器の部分破壊実験を行なったところ、特定部位を破壊するとSAの線状パターンが渦巻状に変化し、それ以外の部位では変化が生じないことも確認された。 本研究で確認されたこれらの事実は、成熟期エナメル芽細胞の周期的形態変化が、反応拡散系に基づく自発的形態形成現象であることを初めて実験的に示したものである。
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