研究概要 |
標的GSK-3β mRNAについて,切断予定部位の塩基配列の解析から5'-half-tRNA型(sgGSKH)及び数種のlinear型(sgGSKL)のsgRNAを設計した.293細胞及びC2C12細胞のGSK-3βは2'-O-メチル修飾したsgGSKHもしくはsgGSKLの導入によって著しく減少した.これらの結果は,sgRNAとtRNaseZLによって標的であるGSK-3β mRNAを有効に切断しノックダウンしたと考えられた.また,培養系においてfluorescein標識したsgGSKLは,リポフェクタミンを使用せず単独で添加しても細胞内に有効に取り込まれることが明らかになった.これらのsgGSKLをマウス頭蓋骨に単独で注入したところ,2週後の骨は有意に増加した.また,このsgGSKLの有効性について,マウス大腿骨骨折モデルを用いて内軟骨性骨形成に対する影響を検討した.マウス大腿骨を骨折させ,仮骨形成する時期に2'-O-メチル修飾したsgGSKLをelectrophorationにより導入した.3日後,1週間後,2週間後における骨折治癒の経過を単純エックス線装置で観察したが,骨折治癒に対する影響は観察されなかった.hydrodynamics gene transfer法を用いて,この2'-O-メチルsgGSKL RNAを全身投与し全身の骨量の検討を行ったが,この投与法では有意な変化が認められなかった.sgRNAの投与方法,投与量等の検討が必要ではあるが,新たな骨・軟骨組織の形成誘導法としての可能性を示唆する成果が得られた.
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