研究概要 |
歯内療法において根管形成の重要性は適切な清掃・拡大である。根管の機械的形成の達成はファイルで確認できる。しかしながら根管の清掃性に関しては臨床的に未知のままである。それゆえ、根管壁からの軟組織の除去を含む根管の清掃性を検出する方法を確立する必要がある。この研究の目的は根管壁の歯髄残渣を検出することである。ウシ象牙質を薄切し、厚さ150μmの象牙質プレートを作成した。その後、圧平したヒト感染歯髄組織を象牙質プレートにのせ、組織をconfocal laser scanning microscopy system(LSM5 PASCAL,Zeiss,Germany)を用いて観察した。象牙質プレートのみの観察もコントロールとして行った。励起波長は488,543,633nm、検出波長は505nm以上のバンドパスフィルターとロングパスフィルターを数種類用いた。さらに励起波長543nm/検出波長590nmを用いた場合の歯髄組織と象牙質の蛍光強度を評価した。残存歯髄組織はいくつかの励起波長/検出波長の組み合わせ(488/530,488/560,488/650,543/590,633/650)により形態観察が可能であった。一方、象牙質プレートはどの励起波長/検出波長の組み合わせを用いても形態観察されなかった。蛍光強度に関しては歯髄組織と象牙質に有意差が認められた(p<0.05,unpaired t-test,n=8)。根管からの自家蛍光の検出は非侵襲的、客観的、正確で、即時的な根管の清掃性の診断方法となりうる可能性がある。
|