研究課題/領域番号 |
18659665
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
臨床看護学
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
粟生田 友子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (50150909)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2007年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 高次脳機能障害 / 家族 / 症状理解 / 障害認知 / 看護介入 |
研究成果の概要 |
本研究の研究課題は、高次脳機能障害患者の症状を家族が理解するプロセスと、理解の様相を明らかにすること、および医療の場で病棟看護師が用いているスキルを明らかにし、家族が活用できる症状へのアプローチ方法を選定し、家族への教育介入に盛り込み、その効果を明らかにすることである。 介入前の段階では、主に質的記述的研究デザインをとり、リハビリテーション機能のある回復期の医療施設において、家族及び看護師への面接及び参加観察から脳卒中により高次機能障害を生じた患者の家族の症状理解の様相を記述した。看護師の用いているスキルを選定した後家族への教育介入に盛り込み、ケアによる家族の症状理解の変化を事例ごとに記述した。 結果 : データ収集に先立つ2例の家族の面接から、【コミュニケーション場面】、【事故やトラブルの場面】を振り返ることで家族の症状理解が深められ、【違和感を感じ取る】【症状として認知する】【トラブルの予測をつける】【手だてを思い描く】などの「症状理解の過程」が明らかになった。これらは、家族の「予測不能な不安」を喚起しながら、「落胆」「患者への悲観的見通し」という感情を生じさせていた。高次脳機能のうち認知及び注意の障害に限定し2事例を約2ヶ月間追跡した参加観察の結果、患者の家族は、患者の症状を理解する際に、「予測困難」「対応困難」の2つの困難を体験していることが分かった。「予測困難」に関しては、「症状の確認を繰り返す」ことを通して、「問題発生場面を予測する」という作業をおこなっており、「対応困難」に関しては「生活上の危険場面を探る」「コミュニケーションが通じているか確かめる」「理解できているのか確かめる」「本人の認識の過程を確かめる」という確かめ行動を起こしていた。その際、家族は「正体がつかめない不安」「患者の変貌への戸惑い」「予測できない怖さ」などを語った。抽出したスキルを事例に適用し、患者の家族が患者の症状によって「以前と異なる日常生活変化」「生活上のリスク予測」について看護師と一致するかどうかなどを評価した。看護師による症状アプローチの方法は、「違和感」によって察知され、「コミュニケーション法」の形を変えて、患者にケアする構造が明らかになった。2事例の介入を経た現段階においては、「生活上のリスク予測」について看護師よりも多い傾向にある事例と少ない事例とがあった。今後事例によって異なる要因を探りながら事例数を増やし、明確な介入評価を行う必要があることが課題となった。 なお、研究過程で、高次脳機能障害の種類と程度によって固有の理解の様相が認められたため、結果については障害を特定し追試する必要があると考えている。
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