研究概要 |
本研究では,長期入院児の病院から学校への再就学移行をスムーズにするための体系だったサポートシステム案を作ることを最終的な目的として,基盤研究として計画したものであるデータの収集をはじめてすぐ,質量ともに先行研究の蓄積に乏しい院内教育の実態を把握し,検討することをまず優先すべきであると判断した,中でも,ターミナル期の子どもへの働きかけにしぼってデータを収集した方がよいということがわかった,そこで,主に院内教育の担当者,医療者(医師,看護師),子どもの両親,そして闘病経験のある子ども自身へのインタビューをおこない,子どもたちの入院中の教育(教科学習以外の働きかけも含む)の実態と課題を把握しようとした,本年度はインタビューにくわえて,院内教育の担当者4名とのフォーカスグループを8回おこない,ターミナル期の子どもに対しておこなわれた教育的働きかけとその結果,教育と医療者との連携の良し悪しによって結果がどう異なるのかを検討した,この3年間の研究によって,小児がん医療の中に「トータルケア」という言葉が定着しているものの,実際には言葉だけが一人歩きし,子どもに関わる情報が多職種間で十分に共有されていないという実態が明らかになった.本研究の成果の1部は,インターナショナルナーシングレビュー誌の平成21年秋号の特集(仮題:子どもの闘病と教育)を通して提示する予定である.さらに,今回の研究結果をもとに,臨床の場に適したサポート体制を構築する作業を進めていきたいと考える.
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