配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2007年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2006年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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研究概要 |
高い3次非線形光学特性(χ^<(3)>)を有するテルライト系ガラスは光通信/情報処理におけるラマンアンプや光スイッチング用材料として有望である.本研究では屈折率の高い重金属酸化物MO_x(TiO_2,ZnO,GaO_<1.5>,PbO,BiO_<1.5>)をドープしたテルライト系ガラスのラマン散乱スペクトルを測定し,ラマン散乱スペクトルの解析を通じてガラス構造とχ^<(3)>の関係を調べた.試料に用いたガラスは60〜70mol%TeO_2を含むTIO_<0.5>-TeO_2系ガラスで,そこに上記の重金属酸化物を5もしくは10mol%添加した.原料バッチは白金坩堝に入れ,700〜800℃,20分間電気炉で溶融させ,溶融物を金型に流しこみ,室温まで除冷した.その後各ガラスのTgに応じて115〜160℃で10時間アニールした.光学研磨したガラスの屈折率はエリプソメータ(FiveLab,MARY-102)で,ラマン散乱スペクトルは顕微ラマン分光装置(JASCO,NRS-2000)で測定した.得られたラマン散乱スペクトルはBose-Einstein因子F_<BE>=1+[exp(hv/kT)-1]^<-1>で温度補正し,ラマン散乱光の励起放射量を石英ガラスと比較した式F_R=(1+n_<sample>)^4/(1+nSiO2)^4により補正した.また,ベースライン補正を行い,SiO_2のピークラマン強度(440cm^<-1>)を1としたときの相対値にV.G.Plotnichenkoの文献と比較し,装置補正値0.587を用いて補正した.3次非線感受率χ^<(3)>の測定では,再生増幅Ti:Sapphireフェムト秒(fs)レーザーからのガウシアンビームを用い、Z-scan法でχ^<(3)>を求めた. 試料ガラスの補正後の相対ラマン強度(最大ピーク値)と実部χ^<(3)>の値をデータベース化することができた。研究をはじめるにあたり両者の相関性を期待したが,BiO_<1.5>をドープしたテルライトガラスでは,ラマン強度は大きい反面,χ^<(3)>は比較的小さい値をとった.そこで,ラマンピークの波数に着目した.いずれのガラスでもTeO_4(tbp)構造の660cm^<-1>とTeO_3(tp)構造の760cm^<-1>の間に主ピークを持ち,中間構造TeO_<3+1>を取っていることが分かった.そして,そのピーク波数と実部χ^<(3)>に相関が存在することを発見した.このことは、ドープした重金属元素とTe元素とで酸素結合性(酸素結合距離)が異なり,tbpに近い中間構造においてTeサイトの非線形分極率は高くなることを示しており、新しい光機能性ガラスの開発に重要な指針を得た。
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