研究課題
若手研究(A)
本研究の目的は、方位・粒界・粒サイズが制御された太陽電池用Siバルク多結晶インゴットの成長技術を確立することである。具体的には、申請者らが発案した「デンドライト利用キャスト法」により従来の多結晶よりも高品質な結晶を得ることである。本成長方法では、一方向成長の初期過程に坩堝底面に沿ってファセットデンドライトを成長させることが最も重要になる。本研究では、Siの融液成長過程のその場観察実験により、ファセットデンドライトが成長するための条件である、平行双晶の形成機構を明らかにし、さらにファセットデンドライトが成長するために必要な過冷却度を定量的に明らかにした。これらの基礎実験により得られた結果をデンドライト利用キャスト法の成長条件ヘフィードバックすることにより、15cmφのインゴットの成長において、成長初期に坩堝底面に沿ってファセットデンドライトを効果的に発現させるための条件を取得した。実際に、市販のSi多結晶と比較して、結晶方位が一方向に揃い、結晶粒サイズが大きく、Σ3対応粒界が多いSiバルク多結晶を得ることに成功した。この多結晶を用いて作製した太陽電池は、市販の多結晶太陽電池の変換効率を上回る特性を示した。さらに、従来の方法では結晶の品質が低下するインゴット上部においても高品質な結晶性を維持しており、歩留まりの向上に対しても有効な成長技術であることが証明された。この結果により、デンドライト利用キャスト法の実用大型装置への展開が現実味を帯びてきた。
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Acta Materialia (印刷中)
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